日本海沿岸部に、昨年10月以降、北朝鮮の漁船と見られる木造船が14隻漂着し、31人の遺体が発見された。こうした事故の多発について、咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNKジャパンの内部情報筋は「無理に操業したことが原因だ」と述べる。

「咸鏡南道だけでも漁に出て帰ってこない行方不明者は150人以上だ。年末に咸鏡南道人民委員会と、道の保安局(警察)が集計した数字であり、咸鏡北道や江原道を含めると数百人以上だろう」

情報筋によると、今年6月から始まったイカ漁や11、12月のハタハタ漁の事故を見てみると、行方不明者の大多数は、小さな木造船(8〜12馬力の漁船)に乗って漁をしていたという。また、沈没した船の大半が、専門の船製造所で作ったものではなく、個人の木工職人が、いい加減につくった小舟のレベルだという。

日本海側の住民は、適当な稼ぎがない。6月から10月の間は「魚が我が家を食べさせてくれる」と、イカ、ハタハタ漁にむけて、5月から家財道具から家まで売って、木造船と漁具を調達する家もある。しかし、ほとんどの漁民が小さな木造船、それも故障が多い中国産エンジンと通信装置なしで、無理な操業をするため、時化やエンジンの故障などで、遭難するのだ。

「先月までは、新浦、端川、金策、清津など東側の海岸では、遭難にあった漁民を待ちわびる家族をたくさん見かけた。しかし、北朝鮮当局は、家族を失った遺族の心情も理解せず、なんら対策を立てていない」(咸鏡南道の情報筋)

人民保安部(警察)や国家安全保衛部(秘密警察)は、方不明者の家族に対して慰めたり、対策を講じるどころか、彼らを呼び出して、「本当に船に乗っていたのか」「連絡はなかったのか」などと聞きながら、なかったことにする。

こうした当局の対応と姿勢に住民達は、「我々のような一般民衆はいくら死んでも、上の連中は痛くもかゆくもないみたいだ」「当局は、『海の豊年』と宣伝しているが、『行方不明者の豊年』だ」と皮肉りながら、海難救助対策を取らない当局に不満を述べているという。

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