今年5月、南アフリカ駐在の北朝鮮外交官が、モザンビークからサイの角を密輸しようとして摘発される事件が起きたことはデイリーNKでも報じたが、この度この外交官が南アフリカから追放されたことが明らかになった。

立派な角を生やしたサイ(画像:Tambako The Jaguar)
立派な角を生やしたサイ(画像:Tambako The Jaguar)

南アフリカのニュース24によると、当該の外交官が「帰国した」と北朝鮮大使館からの通告があったと、南アフリカ政府国際関係局のネルソン・クグウェテスポークスマンが明らかにした。しかし、氏名は明らかにしなかった。南アフリカ政府は11月、この外交官に30日以内に出国するように命じている。

事実上の追放が報じられたのは、南アフリカ駐在北朝鮮大使館のパク・チョルチュン参事だ。また、パク参事と共に逮捕されたと伝えられた南アフリカ在住のテコンドーの師範、キム・ジョンス氏も出国したと伝えられている。

2人は、重さ4.616キロのサイの角を購入した容疑で、モザンビークの首都マプトで今年5月3日に逮捕された。車からはサイの角の他にも9万9300米ドル(約1229万円)と2400南アフリカランド(約2万5000円)など多額の現金も発見された。彼らの乗っていた車はプレトリアの北朝鮮大使館に登録された外交官車両だった。

もう一人はテコンドーの師範、キム・ジョンス氏だが、外交官ではなく、首都プレトリアにあるアフリカテコンドー連盟(TFA)で長年活動してきた。現地では尊敬を集める師範だったという。

ニュース24は連盟の会長で、プレトリア高等裁判所の判事、アナリ・バッソン氏の息子のアンドレ氏にインタビューした。その中でアンドレ氏は次のように語った。

中央がキム・ジョンス師範(画像:TFA提供)
中央がキム・ジョンス師範(画像:TFA提供)

「キム氏は、TFAの師範、技術委員会と審判委員会のディレクターだった」 「彼は逮捕されていないと言っていた。事件に関与した証拠が得られるまでは、我々としては彼の言葉を信じるしかない」

キム師範は、10月末か11月初めに「家族に会いに行く。南アフリカには来年戻る」と言って北朝鮮に帰国したとアンドレ氏は語った。

連盟のウェブサイト(外部リンク)によると、キム師範は1987年から2000年までポーランドでテコンドーの師範を務めてきた。2004年からは南アフリカとモザンビークで活動してきた。

韓国の国技院によると、南アフリカではテコンドーが人気のある格闘技で、陸軍では2007年から正式の訓練科目として取り入れている。韓国政府と軍は、師範を派遣するなど、南アでのテコンドー普及に力を注いできた。2008年の世界テコンドー大会では、南アのダンカン・マスラング選手が優勝している。

北朝鮮も、韓国に負けじと海外でのテコンドーの普及に務めてきたが、その旗振り役とも言えるキム師範の事実上の追放は、南アのテコンドー界のみならず、北朝鮮にとっても痛手だ。

ここ最近、北朝鮮の外交官が密輸に関与した容疑で摘発されるケースが世界各地で相次いでいるが、いずれも金正恩第一書記への上納金「忠誠の資金」稼ぎのためと思われる。ノルマが達成できず、処罰を恐れて、違法行為に手を染める北朝鮮関係者が後を絶たない。

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