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79 最後に、調査委員会は、北朝鮮の労働力及びその他技術力の獲得を目的として、組織的に拉致された又は本国送還を拒否された外国人に対しても、人道に対する罪が行われていることを認識している。

V. 結論及び勧告

80 北朝鮮では、過去にも現在にも、国やその機関、当局者による組織的、広範かつ重大な人権侵害が存在する。調査委員会が人権侵害と認める事案の多くは、人道に対する罪に相当する。これらは、単なる国家の行き過ぎた行為ではない。国が根ざす理想からかけ離れた政治制度の不可欠な要素になっている。こうした侵害の重大性、規模、本質は、同国が現代世界に類をみない国家であることを露呈させている。20世紀の政治学者は、この種の政治組織を全体主義国家と特徴づけた。すなわち、一握りの人間による独裁支配に満足せず、そこから国民生活のあらゆる側面を支配し、国民を恐怖でねじふせようとする国家である。

81 北朝鮮は、全体主義国家としての多くの特質を示している。それは、1人が1党を支配するルールであり、現・最高指導者が「金日成主義-金正日主義」と呼ぶ、緻密な指導思想の上に成立している。北朝鮮は国民を子どもの頃から洗脳し、公式イデオロギーに疑問を呈するあらゆる政治的表現、宗教的表現を抑圧し、国民の移動、国内外の通信手段を厳しく制限することにより、この指導思想を植え付けようとする。性別や出身成分に根差す差別を利用し、政治制度への抵抗を生み出しにくい硬直化した社会構造を維持している。