B. 差別

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32 北朝鮮は、あらゆるセクターで平等、差別のないこと、そして平等な権利が十分達成され、実施されている国であると自称している。実際は、硬直的な階層社会であり、差別が固定化されている。ただし、市場の力及び技術的発展によりもたらされた社会経済的変革を通じてある程度は改められているところである。北朝鮮において国家が後押しする差別は広範囲にわたっているが、変化もみられる。差別は出身成分(songbun)制度に由来しており、この制度の下で国民は国家により割り当てられた社会階級及び出自を基に分類されている。また、政治的意見や宗教も考慮に入れられている。出身成分は、同様に広範囲に及ぶジェンダーに基づく差別とも関係がある。

障がいを基にした差別も行われているが、この特定の問題には国家が取り組み始めたかもしれない兆候がみられる。

33 出身成分制度はかつて、個人が居住を許される場所はどこか、どのような住居を持つか、どのような職業を割り当てられるか、特に大学について実質的に学校に行けるか否か、どれくらいの量の食料を得られるか、そして誰と結婚するかを決定する、最も重要な要因であった。この制度に基づく伝統的な差別は近年、市場経済への移行が進展するとともに、また、外貨を含む金銭が、国民の経済的、社会的及び文化的権利を実現する能力に及ぼす影響によって複雑化している。同時に、基本的な公共サービスが崩壊しているか、もしくは実質的に有償化していることから、国民の中の大きな割合を占めている、資産もなく、有利な出身成分も持たない層はますます取り残されていると感じるとともに、新たな形態の差別を受けている。