34 形式的な法的平等性の確保を目指した初期の改革によってもジェンダー平等は実現されなかった。女性に対する差別は、社会のすべての側面で横行している。実際のところ、悪化しているかのようである。なぜなら、男性が支配的な国家において,経済的に進出しつつある女性及び疎外されている女性の両方を食い物にしているからである。1990年代に飢餓を生き抜くため数多くの女性たちは私的な商売を始めた。しかし、国家は女性が支配的な市場に多くの制限を設けた。ジェンダー差別の別の形態としては、女性が賄賂や罰金の支払いにおいてターゲットとなっている。こうした取扱いに対し、女性たちが異議を唱え、抵抗を始めていることを示す証拠が最近明らかになっている。
35 女性の社会及び政治の面での進出は,女性の経済的進出に見合っていない。北朝鮮では、女性に対する伝統的な家父長的態度や暴力が根強く広がっている。国家は露骨にも、純粋で無垢な朝鮮女性というジェンダーの固定観念を維持しようとして、女性に対し差別的な制限を設けてきた。女性に対する性的暴力及びジェンダーに基づく暴力は、社会のすべての面で横行している。被害者には、国家からの保護、支援サービスはなく、裁判に訴えることもできない。政治分野では、女性は最高幹部のわずか5%、中央政府職員の10%を占めるに過ぎない。