その裏ワザとはワイロ。部隊から兵士の実家に対して要求される「課題物」という名の「現物ワイロ」を調達できれば、特別休暇をもらい実家に帰られるのだ。
ただし、こういった物資を調達できるのは、経済的に余裕のある家に限られてくる。幹部の息子などは、物資を頻繁に調達することから、月に1回の休暇をもらえる。なかには、1年のほとんどを家で過ごす兵士もいるぐらいだ。庶民層出身の兵士やその親の間では、当然のように怨嗟の声が上がっている。
部隊が要求する「課題物」は、冬の訪れとともに変わる。総じて北朝鮮の道路事情の悪い。軍部隊は山奥にあることも多く、大きな荷物を持っての移動が困難になるため、現物ではなく、現金を持ってくるように要求されるという。
たった1回の休暇で要求される額は、50万北朝鮮ウォン(約7500円)。コメが90キロ買える額。庶民にとっては、大きな負担だが、親はなんとかしてかき集めようとする。息子の命がかかっているからだ。
部隊によって差はあるが、軍隊の食料事情は依然として劣悪だ。兵士にもかかわらず、軍部隊の食料調達のため山菜採りに駆り出されるほどだ。
(参考記事:金正恩氏はミサイル発射に満足…兵士は「山菜採り闘争」)