北朝鮮の外貨稼ぎ会社が、来年度の「貿易許可証」をトンジュ(金主、新興富裕層)に貸し出していることが明らかになった。これらの会社は、トンジュから多額の貸出料を取り、当局に差し出す上納金「忠誠の資金」に当てている。

平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、貿易許可証の貸出を行っているのは、人民武力省や朝鮮労働党所属の外貨稼ぎ会社だ。トンジュが中国から商品を輸入する際に、輸入額や利益の3割を貸出料としてあらかじめ収めて、貿易許可証を貸してもらう形だ。

年末になると、当局に上納する忠誠の資金をかき集めるために、通常の貸出料にワイロまで要求して許可証を貸し出す。忠誠の資金の額に応じて、当局から得られる貿易許可証の枚数が増えるので、貸し出せる許可証の数も増えてさらに儲かる仕組みになっている。こうして、外貨稼ぎ会社のもとには何もせずに莫大な額の米ドルや中国人民元が転がり込むのだ。 一例を挙げると、新義州(シニジュ)のトンジュは、自動車の増加で需要が高まっているタイヤを輸入することにした。品定めをした後で外貨稼ぎ会社を訪ね、貸出料を払い貿易許可証を貸してもらう。中国での単価が200人民元(約3780円)のタイヤを輸入する場合には、貸出料として1個あたり25元(約472円)を先払いするという形だ。

これをパーセントに直すと12.5%だが、おそらくコネがあって通常の3割より安くしてもらったケースだ。売れ行きのいい金属類や化学材料を輸入する場合には、高級幹部とのコネがあったとしても、1トンあたり200元を支払わされるという。

会社そのものを貸し出すケースも

貿易許可証はもちろん、トンジュに経営権まで「貸し出す」外貨稼ぎ会社もあるという。本来の経営責任者に商売の才能がなく、求められた忠誠の資金を上納できなさそうな場合は、トンジュに会社をまるごと貸し出して、代わりに稼いでもらう。

会社には貿易許可証の貸出料に加えて、会社の名義を貸し出す多額のワイロに、商売の利益まで転がり込む。忠誠の資金の上納できれば、当局から処罰されることもなく、今後の地位も安泰だ。トンジュは会社の名義を借りたことで、さらに大きな商いができる。

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