その内容は「加工品は輸出してもよい」というもので、それを聞いた外貨稼ぎ企業は、保有している魚介類を乾燥させる作業を一斉に始め、てんやわんやの大忙しになったという。
禁止令が一部撤回された理由は「魚を加工して輸出すれば高く売れるから」だという。
ところが、この指示が裏目に出てしまった。中国に輸出した干し魚が安く買い叩かれてしまったのだ。「同じ北朝鮮産の海産物でも、生のものは中国人に人気があるが、乾物は信頼できないとの理由で不人気」(情報筋)だからだ。
北朝鮮産と書かれたままでは売れないので、中国の業者は加工品の原料にしてしまったため、さらに値段が下がる結果を招いた。中国の業者からは「生の魚を輸出してくれ」という催促が届いているという。
金正恩氏は「高く売れるから加工しろ」と指示を下したことで、当初の「人民に魚を食べさせる」という大義名分も失い、値段も下がり貴重な外貨も失う結果を招いてしまった。中国の消費者の好みを知らないのに、余計な口出しをしたことで、金正恩氏は人々の信頼をさらに失う結果を招いてしまったのだ。