何をどれだけ作るかは、平壌の業者とあらかじめ話し合って決めておく。収穫した野菜や果物は平壌に住むトンジュ向けに出荷される。毎朝、新安州の駅には、各地からキュウリやイチゴを満載したトラックが集まる。作物は列車で平壌の市場に運ばれる。
こうして栽培された野菜や果物は、かなりの高値で取引される。例えば、イチゴの卸売価格は1キロ15000北朝鮮ウォン(約225円)だ。これはコメ3キロ分の小売価格に匹敵する。それが、2月16日の光明星節(金正日氏の誕生日)ともなると、倍に跳ね上がる。
冬場の野菜や果物は、平壌のトンジュ間で非常に人気が高い。通常、市場では「ツケ」での取引が可能だが、冬場の野菜、果物はツケが効かないほどだという。
こうして得られる利益は、1シーズンに2000ドル。酷寒のロシアで木材伐採などに従事するより、はるかに儲かるという。そして、多額の現金だけではなく、経験を通じて高度な栽培技術も手にすることができる。もはや、チュチェ農法は要らないのだ。