韓国の国家情報院(国情院)は18日、シリアからの難民200人が、韓国政府に対して受け入れ申請を行っていると明かした。

韓国は1994年から難民の受け入れを始めており、2003年7月には難民法を施行している。しかし、法の仕組みは難民を積極的に受け入れる形にはなっていないようで、運用を巡っては「むしろ難民を追い返すための法律ではないか」との批判も出ている。

実際、あるアフリカ出身の男性は正式な難民審査さえ受けられないまま、空港でチキンバーガーとコーラの食事を与えられるだけの生活を5カ月も続けているという。

パリ同時多発テロで、自爆犯が持っていたシリア難民のパスポートはどうやら偽造であったようだが、それでも、各国では難民の受け入れに消極的な声が上がってしまっている。

この状況下、政府や世論が慎重になるのは仕方のない問題だ。

韓国の例を見ても、国会に報告を行った国情院はインテリジェンス(諜報)を担う情報機関であり、韓国の政治が難民の問題がどのように見ているかを示していると言える。国情院は今年、武装勢力「イスラム国」(IS)シンパの外国人らが爆弾の材料を同国内に持ち込もうとしたところを摘発しているだけに、難民の処遇についても敏感になっていると考えられる。

韓国はイラク戦争で米英に次ぐ規模の派兵を行ったことで、米国を憎悪する人々に「敵」としての姿をさらしてしまっている。それはそれで、当時の国際情勢の中で迫られた判断だったのだろうが、現在のシリア難民問題もまた、素通りは許されない問題になりつつある。

これは、「積極的平和主義」を掲げて安保法制を成立させた日本の安倍政権にも言えることだ。日本は韓国と比べても、難民の受け入れには消極的だ。それどころか、北朝鮮に渡った日本人妻の帰国についても事実上「いらない」としてしまうほど、「外部」からの人口の流入を嫌う。

しかし果たして、相当数のシリア難民から受け入れを申請されたとき、本当に追い返してしまうのだろうか。この辺の問題提起は、マスコミの報道にも多くは見られないような気がする。

まずは議論から始めることが重要だ。

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