北朝鮮の男性は、市場で商売をしたくても中々できない。原則的に企業所に所属、出勤する義務があり、当局から「職場に忠実でありなさい」と指示されているからだ。しかし、いくら職場で一所懸命働いても、月給は5000北朝鮮ウォン(約75円)ほど。コメ1キロがやっと買えるかという水準で、現実の物価とは大きくかけ離れている。

一方、女性は職場という縛りがないことから、相対的に自由に商売ができる。男性より収入が何十倍、何百倍多いのは当たり前だ。経済力に加えて生活力のある女性は、今や北朝鮮経済の主役と断言してもいいだろう。そして、女性の経済力が高まったことは、男尊女卑の色合いが濃かった北朝鮮にかつてない「夫婦関係の変化」をもたらした。

亭主関白の先には餓死の恐怖

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、「最近、男性の間では『妻に優しくすれば家庭円満になる』という認識が広がり、妻の誕生日などを祝う男性が増えている」と前置きしながら、北朝鮮男性の最近の傾向を次のように語った。

「誕生日プレゼントに何をあげるかによって、妻の夫に対する態度が変わる。そのため男性の間では妻の誕生日プレゼントがしょっちゅう話題に上がる。以前は、プレゼントの話など恥ずかしくて人前で出来なかったが、今では『妻に優しくできず相手にされない方がよっぽど恥ずかしい』との認識が広がっている」(両江道の情報筋)

ところで、北朝鮮男性が妻のために選ぶ定番プレゼントは何だろうか?

一番人気は、やっぱり「化粧品」。なかには奮発してネックレス、指輪、靴など妻の好きなものをプレゼントする気の利いた男性もいる。ただし、忘れてははならないのはプレゼントを買う資金。実は、妻が稼いだなかから捻出したプレゼント資金だが、それは公然の秘密だ。

特別な日のプレゼントはもちろん、帰り道に妻を迎えに市場に立ち寄ったり、家で夕食を作る夫も、今では珍しくない。もちろん未だに「亭主関白」な男性も少なくないが、「悲惨な末路」が待っている。

浮気、暴力などで妻に愛想を尽かされ三行半を突きつけられる夫も少なくない。以前は、離婚手続きが面倒なこともあって、離婚率が低いと言われていたが、今では裁判所に100ドル(約1万2000円)のワイロを渡せば、すぐに離婚の手続きをしてくれる。

仮に離婚調停のような形になれば夫婦の両方が裁判官にワイロをわたすが、額の多い方、すなわち大抵の場合「妻」に有利な判断が下される。経済力のある妻は有利な条件で離婚できるのだ。

亭主関白で好き放題やった挙げ句、離婚をつきつけられ妻が稼ぐ収入も財産も失った。手元には国からもらえるスズメの涙のような月給のみ。そんなバツイチ男性たちに待っているのは「餓死の恐怖」だ。

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