配給制度が崩壊し、食料は自分で生産するか、市場で買い求めるのが当たり前になっている今の北朝鮮。当局は「国定価格」という国が決めた販売価格を一応は発表している。しかし、そもそも国定価格で商品を売る国営商店自体が機能していない現状では、まったくの意味を成さない。

ちなみに、2012年の国定価格はコメ1キロが1600北朝鮮ウォン(約24円)。5000北朝鮮ウォン(約75円)前後の市場価格とは3倍の差がある。国定価格でコメを売る商人が誰一人としていないことは言うまでもない。

限度価格とは?

当局もこの状況を把握しているのか、同時に「限度価格」なるものを発表。これ以上の値段では売らないようにと指導しているが、これも有名無実化している。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、市場の入口にある管理所の壁には「限度価格」が貼りだされている。本来は、「これ以上の値段で売ってはいけない」という価格表だが、現在の食料品の価格に合わせて決められるので、ただの物価一覧表と化している。

例えば、コメ1キロが5000北朝鮮ウォンだとすると、限度価格は4500~5000北朝鮮ウォンだ。市場をチェックする保安員(警察官)は店を回って「限度価格に合わせろ」という指導はできない。仮に指導したところで、汚い言葉で罵られるのがオチだからだ。客も同じで「国定価格はいくら?」などと聞けば「バカじゃないの?」と言われるだろう。

各道の人民委員会(道庁)では、調査員を派遣して市場の物価を調査している。家電、食品など品目別に調査員がいて、綿密な調査が行われている。

この調査は「人民生活の改善案を探る」という名目で行われているが、住民たちは鼻で笑いつつ「あんたらに生活を改善してもらう筋合いはない」「ほっといてくれる方がよっぽど役に立つ」「下手に動かれると迷惑だ」と言っている。

あの手この手で市場を統制しようとしている北朝鮮当局だが、市場活性化どころか無駄な業務を増やしているだけのようだ。

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