ソ連をはじめとする東欧社会の住民たちの意識の変化は、外部の情報と変化の信念を運んだラジオ放送の影響を大きく受けた。北朝鮮も同じだ。閉鎖的な北朝鮮社会の変化を導き出すために、現在アメリカをはじめとし、韓国の自由北韓放送や自由朝鮮放送、開かれた北朝鮮放送などが北朝鮮に向けて電波を送っている。対北ラジオ放送が北朝鮮社会に及ぼす影響を分析してみたい。
北朝鮮は外部と徹底的に遮断された国だ。北朝鮮政府は特に、住民が外部の情報に接することができないように緻密に統制している。外国のテレビや映画を見たり、外国の歌を聞いたり歌うことは禁止されている。北朝鮮の住民たちは、政府が提供する情報以外にはラジオを聴くこともできない。北朝鮮の住民のほとんどが、「第3放送」という有線のスピーカーで、政府が提供する情報を聞いている。北朝鮮の各家庭に、有線につながれたスピーカーが1台ずつ設置されている。
このスピーカーからは当局が提供する朝鮮中央放送や市道放送、市郡放送、村の放送などが時間別に中継されている。北朝鮮の住民が聞くラジオはこの「第3放送」を指している。もちろん、北朝鮮にも空中波の放送がある。北朝鮮唯一の空中波ラジオチャンネルが、朝鮮中央放送だ。けれども、空中波を利用して朝鮮中央放送を聴く住民はほとんどいない。北朝鮮は専用のラジオを所有することを最初から法律で禁止してきたからだ。