北朝鮮芸能界にはこうした「ウラ事情」に加えて「政治とも無関係ではない」という独特な事情もある。スキャンダルとは縁が無くても自らのパトロン、後見人のような政治家、実力者が失脚や粛清された場合、連座制と見せしめで粛清されることもあるのだ。まさに一寸先は闇だ。
朝鮮中央通信は「芸能人スポーツ大会」を20枚の写真と共に報道した。大会は和気あいあいとした雰囲気に満ちあふれ、参加した芸能人たちも楽しそうな表情を見せている。
しかし、芸能人でさえも思わぬことで天国から地獄へ突き落とされる現実を考えると、複雑な気持ちにならざるをえない。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。