大都市で道も複雑な平壌ならともかく、たかだか人口20万人の平城や順川で「人間ナビゲーター」のような商売が成立する背景には、市場経済の拡大・発展による交流人口の増加があるようだ。
首都平壌は許可証なしでは入れないなど統制が厳しく商売するには様々な障壁がある。一方、平壌郊外の平城や順川は、商売や移動に関する統制が緩かったことから北朝鮮有数の卸売市場ができ、全国各地から商人が集まるようになった。
高速バスも運行し流通の一大拠点として発展し、他地方から訪れる商売人も増えた。その反面、両都市では商人が持つ多額の現金を狙った強盗が多発した。他地方から訪れた土地勘のない商人が夜道を歩くのは非常に危険なことからボディガードに加えてポーター、宿泊斡旋も兼ねた「人間ナビゲーター」という新手の商売が生まれたのだ。