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ジェームズ記者は平壌市内でタクシーに乗った。下車時のメーターの料金は4ドルだった。ドライバーに20ドル札を手渡し、北朝鮮ウォンでお釣りを要求した。

ドライバーは、13万北朝鮮ウォンのお釣りを返したが、嫌がっている様子だったという。同行した案内員(ガイド)の目の前で、本来外国人が使えないウォンを渡すことを嫌がったわけではない。単純に「札の枚数が多くなり面倒」だからだった。

こうした状況を解消するためには、単純に高額紙幣を増やせばいいのだが、まともな金融システムも税金制度もなく、さらに銀行も信用されていない北朝鮮では、一度発行された通貨は国庫に戻るず、国内市場をさまよい続ける。

また、ただでさえ激しいインフレの今の状態では、紙幣のさらなる発行は北朝鮮ウォンの価値下落とインフレを招き、次から次へと新たな高額紙幣を発行し続けなければらない。人民元を通貨にする方法もあるが、プライドの高い北朝鮮がそれを許すとは到底思えない。闇レートと公式レートの80倍という「不都合な真実」は北朝鮮経済の足を引っ張り続けるだろう。