韓国の統一省が脱北者5人を国家公務員として採用した。同省は今まで脱北者を非正規や9級公務員(高卒者一般採用)として雇ったことはあったが、今回の採用は7級公務員(大卒者一般採用)であり注目される。

韓国の公務員制度で5級は日本でいう国家Ⅰ種、「キャリア官僚」で、7級は国家Ⅱ種、「ノンキャリア」に近い。さらに日本の民間企業に例えて言うと、7級未満は「一般職」であり、7級以上が出世を見込める「総合職」となる。

統一省の関係者は「公務員採用拡大策の一貫として9月に採用計画を決めた。採用試験には104人の脱北者から募集があり、書類審査と面接を行った上、21倍の競争率を勝ち抜いた5人を採用することになった」と述べた。

合格者は身元調査や欠格事由照会を経た上で、11月中旬以降に最終的に採用が決まる。採用後は研修を受けた上で、本人の希望と各部署の需要を照らしあわせて配属を決定する。

スパイ呼ばわりも

同関係者は「今回採用された脱北者が公務員生活になれるように努力する一方で、関連部署と緊密に協力し、より多くの脱北者を雇い入れたい」と語った。

政治的、経済的自由を求めて脱北し韓国にやって来た脱北者だが、彼らの暮らしは非常に厳しいのが現実だ。 脱北者は、韓国社会での偏見の目に晒されることに加え、北朝鮮で質も内容も異なる教育を受けてきたため、就業に当って求められる知識を持ち合わせていないことが多い。そのため、就職が困難だったり、就職できても同僚との文化的摩擦で長続きしないと言われている。

また、給与水準も低いため、中国朝鮮族などの移住労働者とともに韓国社会の最底辺に追いやられているのが現実だ

今回の「脱北者公務員採用拡大策」は一種のアファーマティブ・アクション(差別是正策) だと評価できる。公務員が社会的に地位が高いとされる韓国では、脱北者の公務員採用が所得でも社会的地位においても有効な差別是正策となるだろう。

一方で、高卒で志願できる地方の9級公務員の84%が4年制大学の卒業生(ハンギョレ新聞調べ)であるなど、公務員への道が非常に厳しいこともあり、今回の採用拡大策に対して「逆差別だ」との声が上がる可能性もある。

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