脱北者は、韓国社会での偏見の目に晒されることに加え、北朝鮮で質も内容も異なる教育を受けてきたため、就業に当って求められる知識を持ち合わせていないことが多い。そのため、就職が困難だったり、就職できても同僚との文化的摩擦で長続きしないと言われている。
また、給与水準も低いため、中国朝鮮族などの移住労働者とともに韓国社会の最底辺に追いやられているのが現実だ。
今回の「脱北者公務員採用拡大策」は一種のアファーマティブ・アクション(差別是正策) だと評価できる。公務員が社会的に地位が高いとされる韓国では、脱北者の公務員採用が所得でも社会的地位においても有効な差別是正策となるだろう。
一方で、高卒で志願できる地方の9級公務員の84%が4年制大学の卒業生(ハンギョレ新聞調べ)であるなど、公務員への道が非常に厳しいこともあり、今回の採用拡大策に対して「逆差別だ」との声が上がる可能性もある。