従来、講演会で話された内容はノートに書き留め、労働党や勤労団体の検閲(検査)の際には、生活総和ノート、金日成、金正日労作(著書)学習ノートと合わせて提出する義務があった。講演会ノートには、開催日時、講演のタイトル、講師の名前、講演の主な内容などを記載しなければならない。北朝鮮当局はノートをチェックして思想教育にどれだけ熱心に臨んでいるかを評価する尺度としていた。
朝鮮労働党の中央委員会は昨年5月、「生活総和ノートは個人ではなく、人民班(町内会)、機関、工場、企業所が保管せよ」という指示を下したが、最近に入って「党が主催する政治講演会のノートも廃止せよ」という指示も下した。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、指示の具体的な内容は「今後は講演会の内容は聞いて覚えよ。絶対にノートに書き留めるな」というものだ。こうしたノートは、住民にとって大きな負担だったことから、今回の廃止令を歓迎する声が上がっている。
ノート廃止の真の狙い
歓迎されるノート廃止の指示だが、北朝鮮当局の本当の狙いは「情報流出を防ぐため」だと咸鏡南道(ハムギョンナムド)の別の情報筋は指摘する。