それにしても、北朝鮮はこうした批判に対し、口にするのも憚られるほどの口汚いヘイトスピーチで応ずるのが常であるのに、今回はまだそれが聞こえてこない。
人口約200万人のボツワナは隣国・南アフリカでかつて行われていたアパルトヘイト(人種隔離政策)に強力に反対した歴史を持ち、アフリカでは最も政治・経済・治安の安定した国とされる。
北朝鮮がアフリカ諸国に接近する上でのお題目は、「ともに手を携え、欧米帝国主義を打倒しよう」というものだった。しかし、ボツワナは小国ながら、彼ら自身のやり方で国づくりを成功させた。
そんな国からの批判には「さすがに返す言葉もない」と感じているのなら、北朝鮮の支配層にもどうにか人間味が残っているものと思いたい。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。