北朝鮮の建設事業は、主に軍人や突撃隊(労働奉仕隊)などの動員で確保するため、人件費自体はがかからない。未来科学者通りの建設事業は、金正恩氏の肝いりの事業であり資材も優先的に、かつ安価に回してもらえるのは確かだ。
しかし、1億5000万円の総工費はあまりにも低く、ファン氏も「実際には、発表された額の10倍以上はかかっているはず」と見る。
北朝鮮は、10月10日の朝鮮労働党創立70周年軍事パレードに20億ドル(約2375億円)の巨額の費用を投じたが、住民は「無駄使いが過ぎる」と怒りの声を上げている。今回の「100億ウォン」は金正恩氏の人民愛を宣伝しながらも、住民の反発を買わないように実際より少ない額を発表、つまり「逆水増し」をした可能性がある。
ちなみに、現在の北朝鮮ウォンの実勢レートは1ドル8200~8300ウォンだが、公式レートでは1ドルが130ウォンだ。上記では実勢レートで計算しているが、公式レートで計算すると総工費は約7661万ドル(約92億8000万円)となる。こちらの方が実際の額に近いと思われる。