人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

事件後、男は有罪判決を受けながらも、「ダイナマイトを運んだ」と自白したとの理由で刑を免除され、警察に復職。ノンキャリアとしては最高位の警視長にまで上り詰めて定年退職した。ただ、共産党の追及が効いたのか、公安警察はこの事件を最後に「投入」を中止したと伝えられる。

そもそも、「投入」は法律で認められておらず、潜入する当人の生命がかかるハイリスクな手法だ。しかしそれでも、日本のインテリジェンスの現場ではいまだに「投入」が行われているとの疑惑がある。その疑惑の的こそが、公安調査庁なのだ。

「どうしても証拠が必要だった」

2014年2月24日発売の『週刊金曜日』(金曜日)は、「公安調査庁職員が市民団体に潜入か」とする記事を掲載した。内容は、女性公安調査官が身分を隠して朝鮮総連を支援する日本人団体に潜り込み、情報を収集していたというものだ。

これは、厳密に言えば「投入」だろう。

取材の現場では、公安庁の関係者やOBたちも、情報交換のため時に饒舌な一面を見せる。ところがこの件については誰もが、いかなる言質も与えまいと寡黙な姿勢を貫いた。もっとも、このジャンルの取材を続けている記者にとって、彼らの沈黙は「雄弁な肯定」とほぼ同義であるのだが。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

そうして取材を進めるうちに、ひとりの公安庁OBが断片的ながら過去の経緯を明かしてくれた。