北朝鮮の両江道では、例年より予定を早めて10月10日の朝鮮労働党創建70周年までにジャガイモの収穫が完了した。作況もよかったことから、農場員たちは国からの様々な配給を期待したが、実際に配給されたのは大量のジャガイモのみ。現場からは不満の声が上がっている。

大紅湍の大規模ジャガイモ農場(画像:労働新聞キャプチャー)
大紅湍の大規模ジャガイモ農場(画像:労働新聞キャプチャー)

デイリーNKの現地情報筋によると、大紅湍(テホンダン)郡、三池淵(サムジヨン)郡、白岩(ペガム)郡など、ジャガイモの大農場を有する各郡では、1年の収穫の分配が行われた。分配量は、家族の人数により異なるが、概ね1戸あたり1トンのジャガイモが配給された。

しかし、労働党創建70周年を迎えて、コメなどの「特別配給」を期待していた農場員たちは「激しく落胆している」と情報筋は語る。「大生産地である上に収穫期を迎えたので、現地でのジャガイモ価格は非常に低く、ジャガイモ10キロはコメ1キロにしかならない。また、ジャガイモを買い付けに東海岸から行商人がやって来るが、ジャガイモ5キロでワカメ1キロに買い叩かれる」

金正日氏は、大飢饉「苦難の行軍」の真っ只中にあった1998年、「ジャガイモ革命」なるものをぶちあげた。これは、北部山間地帯を開墾して大規模ジャガイモ農場を建設して食糧難の解決を図ろうとしたものだ。

稲作の北限は、北朝鮮の最北端からさらに500キロ北の黒竜江省のジャムスあたりだが、北朝鮮の両江道、慈江道(チャガンド)などは標高が高いため、稲作はできない地域だ。そこで、金正日氏は寒冷な地域でも栽培可能なジャガイモに目をつけたのだ。

わざわざ大紅湍郡に別荘を建てて、農場を頻繁に視察するなどジャガイモに並々ならぬ愛情を注いだ。そのせいか「大紅湍」と言えばジャガイモというほど有名になったが、現地での評判はすこぶる悪くあちこちから不満の声が出ている。

「豚の脂身が好きなロシア人は喜ぶかもしれないが、コメを主食とする朝鮮人にジャガイモは合わない」

「ジャガイモばかり食べていたから栄養失調になった。ジャガイモを見るだけで全身にじんましんが出そうだ。早くコメをくれ」

「そんなにジャガイモがいいんだったらお前らが食え!」

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