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北朝鮮で、「トンジュ(金主)」と呼ばれる新興富裕層の存在感が増していることは、これまでにも記事でも指摘した。

ヤミ市場などでの商売で資金を蓄えたトンジュたちは、主に不動産や運輸業への投資に熱心だが、ほかにも様々なビジネス領域に活動の場を広げている。

たとえば、建設現場に欠かせない砂が平壌市内を流れる大同江でいくらでも取れることに気づいたトンジュたちは、砂採取ビジネスに進出。国営工場の給料だけではとても食べていけない労働者たちは彼らの誘いに応じ、工場の仕事をほったらかしにして砂採取の現場で働いているという。

こうした大型事業以外にも、トンジュの周辺では、たとえば民家の残飯を養豚場の飼料として販売するビジネスが生まれている。彼ら金持ちは食べるものの栄養価も高いため、残飯も「高級飼料」として高価で取引されるというわけだ。

こうして富裕層が拡大すれば、その需要を満たすためのサービスも必要になる。昨年には、トンジュたちが投資を行い、国営の火力発電所との共同開発による、プールと温泉を備えたいわば「複合スパリゾート施設」が建設された。

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自分たちの遊び場を自分たちのカネで建設し、その運営によって利益を得るもので、やっていることは日本や韓国の投資家と変わらない。

北朝鮮では本来、こうした資本主義的なビジネスは違法であり、国家が摘発に動くケースもある。しかしやはり、あちらの体制もカネの魅力は勝てないようだ。

そのことは、2013年5月にオープンした国営の贅沢施設「ヘダンファ(ハマナス)館」が証明している。浴場やサウナ、プール、レストラン、ショップが備えられた総合レジャー施設であり、オープン直前には金正恩氏が李雪主夫人と訪問している。この施設には海外ブランドの販売店があり、平壌でもトップクラスの美女たちが接客するという。

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ところが、最近北朝鮮を訪れた日本人観光客が「ぜひ行ってみたい」とリクエストしたところ、案内員から返ってきた答えは「アンデンミダ(ダメです)」。外国人を受け付けないというなら、こんな贅沢施設を利用できるのは党や軍でもかなり上位にいる支配階層と、一部のトンジュたちしかいない。

北朝鮮も今や、金正恩氏が金持ち相手のラグジュアリー・ビジネスに乗り出す時代になっているのである。