北朝鮮の各都市に所在する「市場の規模」が、この10年間で拡大していると米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。北朝鮮の衛星写真を分析した米戦略国際問題研究所(CSIS)のベンジャミン・カゼフ・シルバースタイン客員研究員が、ジョンズホプキンス大学の報告会で明らかにした。
拡大したなかでも、とりわけ中朝国境の交易の拠点と言える「新義州(シニジュ)」は、約10年間で規模が2.14倍に拡大した。背景には、北朝鮮の経済規模が拡大していることがある。一方、南北軍事境界線に近い「開城(ケソン)」の市場は、10年間で1.16倍に拡大。東海岸の大都市、「咸興(ハムン)」の市場は、5年間で横ばいだった。
一方、北朝鮮でも有数の卸売市場を持つ平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)は、2009年6月、北朝鮮当局によって閉鎖され、2つの市場に分割されたが、市場に対する弾圧と言っても過言ではない。
ただし、今年4月、デイリーNKジャパン取材班が、平壌の市場で商売を営む女性に現地でインタビューしたところ、「平城の市場が閉鎖されたのは事実だが、閉鎖前と比べて縮小していない」と語っている。衛星写真では判読不可能な「小規模な市場」が多数存在するようだ。