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いずれによせ、北朝鮮当局は、国民経済の資本主義化を恐れている。市場のコントロールが利かなくなり、「経済の民主化」が政治の民主化に繋がりかねないからだ。だからこそ、当局は市場を統制しさらに民間主導の市場経済から主導権を奪い取るため、平城市場が閉鎖された2009年11月30日に、貨幣改革(デノミ)を断行した。しかし、デノミは大失敗。市場では、ハイパーインフレが起こり、経済と社会は大混乱に陥る。

当時の金正日政権は、混乱を収めるためにデノミの責任者だった朴南基(パク・ナムギ)を公開処刑したが、それでも民心の怒りは収まらず、これ以降は市場に対して露骨な弾圧を行わなくなったようだが、時折、市場に対して横暴な弾圧を加えている。

市場の商人達も、負けていない。治安当局vs商人たちの戦闘になれば圧倒的に不利な市場サイドだが、時には激しい抗議活動で抵抗しながら、しぶとく生き残り増殖を続けている。筆者は、こうした動きに対して「庶民のたくましさ」を感じながら外野から応援しているが、心配でもある。

なぜなら、見せしめの意味合いも含めた金正恩氏の公開処刑のやり方が極めて残忍だからだ。衛星画像によっても確認されているが、昨年10月にも正恩氏に異議を唱えたとして15人の当局者が大口径の高射銃の乱射によって公開処刑されている。