北朝鮮の「高麗航空(コリョハンゴン)」が、来年5月より旧ソ連のベラルーシとの間にチャーター便を開設すると米国の北朝鮮専門ニュースサイト「NKニュース」が報じた。便開設は、英国の北朝鮮専門旅行会社「チュチェ(主体)・トラベル・サービス」が提案したという。

どこか平壌を髣髴とさせるベラルーシの首都ミンスクの風景(画像:Anthony Gherghetta)
どこか平壌を髣髴とさせるベラルーシの首都ミンスクの風景(画像:Anthony Gherghetta)

同社のデイビッド・トムソンCEOは、NKニュースに対して「高麗航空とベラルーシ国営のベラヴィア航空が、チャーター便運航の提案を快諾してくれた。北朝鮮とベラルーシという2つの異色の観光地を結ぶ路線になるだろう」と語った。

チュチェ・トラベル・サービスのホームページによると、「ベラルーシ北朝鮮航空ツアー」と名付けられたこのツアーは、文字通り「航空ファン」向けのツアーだ。

航空ファンにとっては魅力的なツアーになるか?

旅程を見ると、ベラルーシの首都ミンスクの航空博物館、航空機修理工場を見学、アントノフ12、アントノフ26などロシア製のビンテージ航空機に試乗する。その後、ベラヴィア航空のツポレフ154型機に搭乗し、ロシアのノボシビルスクを経て10時間半をかけて平壌に向かう。

さらに、平壌から高麗航空のイリューシン62型機に搭乗し、最近オープンしたばかりの元山国際空港に向かうコースも含まれる。

ベラヴィア航空のミンスクから平壌までの往復運賃は2000ユーロ(約27万円)だが、北朝鮮国内のホテルや食費を合わせると2845ユーロ(約38万7000円)に達する。さらに、ベラルーシと北朝鮮での航空機の試乗には95ユーロから490ユーロ(約1万3000円~6万7000円)までの別料金がかかるなど、非常に高価なツアーだ。

ちなみに、今回のツアーに使用される「ツポレフ154型機」は、2010年4月、ロシアのスモレンスク空港に着陸進入中に墜落、乗員乗客96人全員が死亡する大惨事を起こしている。

同機には、ポーランドのレフ・カチンスキ大統領夫妻や多くの政府や軍の首脳を乗せていたため、ポーランド政府の機能が大混乱に陥る事態を引き起こしたいわくつきの機種だが、こうした事情を抜きにしても、「ベラルーシ北朝鮮航空ツアー」は、航空ファンにとって垂涎のツアーになるかもしれない。

北朝鮮とベラルーシ、その類似点

ベラルーシは「ヨーロッパ最後の独裁国家」と言われ、ルカシェンコ大統領は1994年以来権力の座に留まっている。経済はソ連型の社会主義体制を維持しており、大統領の個人的趣味で巨額の予算を投入してアイスホッケー場を建設するなど、北朝鮮とどこか似ている。

しかし、国内消費分をある程度まかなえるほどの石油を算出し、大穀倉地帯をかかえて大麦、ライ麦の生産やトラクター生産などの機械工業も盛んで、北朝鮮とは異なりそれなりの経済基盤を有している。

もしかすると、今回の航空ツアー開始を最も喜び、真っ先に参加したいのは「飛行機好き」で知られる金正恩第1書記かもしれない。

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