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北朝鮮の金正恩第1書記は4日、朝鮮労働党の創立70周年(10日)に際し約1万字の論文「偉大な金日成、金正日同志の党の偉業は必勝不敗である」を発表した。

かの国では、最高指導者の論文は「労作」と呼ばれ、党や国家の活動、社会の営みを縛る「規範」とされる。その中身は人々から思考と行動の自由を奪い、指導者を絶対化する内容で一貫している。

ということはつまり、北朝鮮がどこへ向かっているのかを知るためには必読の文献であり、新しい労作が発表されるたび、北朝鮮ウォッチャーならば必ず目を通さなければならない。

しかし、その文体はきわめて独特で、私などは読むたびにグッタリと疲れてしまう。

そして金正恩氏の代になり、さらに問題が加わった。父親である金正日総書記のそれと比べてダイナミックさが薄れ、研究意欲がなかなか湧かないのだ。

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早い話、内容が薄っぺらいのである。

これは、私だけが感じていることではない。

正恩氏は毎年1月1日に「新年の辞」を発表しているが、これもまた、北朝鮮の1年間の政策方針を述べた「労作」の一種である。

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北朝鮮の人々は、自分の国がいったいどのような方向に向かおうとしているのかを知るため、正恩氏がテレビで読み上げる内容に耳を凝らす。しかし、いくら注意深く聞いても要点がわからず、文章の長さだけばかりが気になってしまうという。

どうして長さが気になるかと言うと、北朝鮮の国民は毎年、長文の「新年の辞」を丸暗記するよう体制から強要され、できないと厳しい罰を受けるからだ。

ちなみに、朝鮮総連が日本で運営する全寮制の朝鮮大学校(東京・小平市)の学生たちも、丸暗記まではしないにせよ、労作を繰り返し精読するよう課題が与えられる。

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ある朝鮮大学校OBが言っていた。

「労作を読むのは本当に大変です。少し読み進むだけで、眠くて眠くてどうにもならない。一度も居眠りせずに読める人は、相当な精神力の持ち主ですよ」

かつてより意味不明瞭さが増した正恩氏の労作は、催眠作用もアップしているに違いない。