北朝鮮は、ウガンダのムセベニ大統領を「国際金日成賞」の受賞者に選定したが、本人が受賞を拒否し続けていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報道した。

「国際金日成賞」は「帝国主義と闘い、自主平和を打ち立てた金日成氏を称える」ため、故金日成主席が逝去する前年の1993年に制定された。

昨年10月、ムセベニ氏は2014年の国際金日成賞の受賞者に選ばれた。理由は「アフリカにおいて独自の開発に基づき、国に平和と繁栄をもたらした」こと。しかし、発表から1年経っても未だに授賞式が行われていない。

「大した賞ではないので…」

実は、同政府は発表直後の昨年11月、受賞拒否を北朝鮮に通告していたのだ。

建国の父の名前が入った賞を拒否されれば、北朝鮮の面子は丸つぶれだ。駐ウガンダ北朝鮮大使は、なんとかして賞を受け取ってもらうために涙ぐましい努力を続けた。

チュニジアの「アル・マグレブ」紙によると、ミョン・ギョンチョル駐ウガンダ北朝鮮大使は、ウガンダ外務省に対して、何度も賞を受け取るように要求したが拒否され続けた。困り果てたミョン大使は、ついにこんなことまで言い出した。

「国際金日成賞は重要でもなく、特に価値もないので、負担に思わず受け取って欲しい」

ミョン氏の発言が、金正恩第1書記の耳に入れば首が飛ぶことは確実だが、それでもウガンダ政府は未だ首を縦に振らずにいる。

北朝鮮とウガンダは、長年友好関係を築いてることから、受賞拒否は北朝鮮にとっても寝耳に水だっただろう。

ムセベニ氏が受賞を拒否するワケ

北朝鮮高官のウガンダ訪問も相次いでいた。2013年6月にはリ・ソンチョル人民保安部局長が、昨年10月には対外的には北朝鮮の国家元首となっている金永南(キム・ヨンナム)氏がウガンダを訪問。ムセベニ氏と会談するなど、両国の蜜月ぶりをアピールしてきた。

ウガンダの「ニュー・ビジョン」紙によると、ムセベニ氏は金永南氏に「北朝鮮は我が国を長きに渡って援助してくれている。ウガンダ軍初の戦車部隊は朝鮮人民軍が訓練してくれた。両国の間に何の懸念材料もない」などと北朝鮮を持ち上げた。友好関係に亀裂が生じる可能性もあるのに、なぜムセベニ氏は頑なに受賞を拒否するのだろうか。

ムセベニ大統領は、1986年以来の長期政権を保っている。当初は「アフリカのニューリーダー」ともてはやされたが、強権的な政治手法により国際社会から批判される立場となった。

特に厳しい批判を浴びるきっかけになったのは、同氏が推進した「反同性愛法」だ。同性愛行為に対して終身刑を化すことも含めた法案で、2013年に議会で可決、2014年2月にはムセベニ氏が署名、成立した。

日本の藤田駐ウガンダ大使は「日本の同性愛の理解のしかたも、欧米のそれとは異なっている」「日本はウガンダを見捨てない」など、ウガンダの反同性愛法を擁護する姿勢を見せたが、性的少数者の人権侵害に敏感な欧米諸国は非常に厳しい姿勢を取った。

米国は、ウガンダ政府機関への資金援助、共同軍事演習の中止、人権侵害に加担したウガンダ人の入国禁止などの制裁措置を取るなど、各国の制裁措置が相次いだ。ウガンダの憲法裁判所は制定過程に問題があったとして無効を宣言しているが、一部国会議員が法の再制定を目指しており、この問題がいつ再燃するかわからない。

欧米諸国との懸念材料を抱えているウガンダは、国際的に極めて評判の悪い北朝鮮との蜜月ぶりを見せつけるのは得策ではないと判断し、受賞拒否の判断に至ったようだ。

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