近年の中朝関係の悪化が、北朝鮮に暮らす華僑の人々に受難の時を強いているようだ。

香港の週刊誌「亜洲週刊(2015年9月27日号)」によると、この夏以降、少なくとも100人以上の在朝華僑が北朝鮮当局により逮捕されたという。

在朝華僑は、80年代中頃には2万人を超えていた。しかし、中国は急速な経済発展を成し遂げたが、北朝鮮には一向に変化がない。さらに、中朝関係の悪化で弾圧が厳しくなり、処遇は悪くなる一方だ。こうしたことから、北朝鮮に嫌気がさして中国に帰国する人が増えている。

それでも、出生成分もなく朝鮮労働党や軍隊にも入れないながら、合法的に中国と北朝鮮を行き来できる身分を利用して商売に励んできた。北朝鮮の国民経済の市場経済化に果たした彼らの役割は、決して小さくない。

しかし、そうした自由な身分と商売上手なところが、今はむしろ災いを呼んでしまっている。

今年に入ってからは、北朝鮮当局はまず、華僑所有の違法住宅の没収に力を入れた。北朝鮮で複数の住居を所有するのは違法だが、華僑は宿泊業を営むために他人名義で物件を購入。北朝鮮当局が調査したところ、ある地域では32世帯の華僑が56軒の住宅を所有していることが判明したという。

違法とはいえ、こうして宿泊業を営む人がいなければ、市場に商品を供給する商人たちは出張すらできず、経済の歯車は回らない。

また、北朝鮮当局は春になると、「韓国人スパイ事件」との関連で数十人の華僑を逮捕した。

北朝鮮の秘密警察などによりスパイ容疑で逮捕させられた韓国人男性らは、「韓国の国家情報院が作成した偽造紙幣や金正恩氏を冒とくする漫画、エロビデオや韓流映画を記録したフラッシュメモリーなどを北朝鮮に投入した」と自白させられているが、彼らが活動していたのが中朝国境地帯だったため、接触のあった華僑までが罪を問われているのだ。

こうして様々な罪状を問われた在朝華僑の多くが懲役8年以上の刑に処せられ、終身刑や銃殺されるケースもあるとのことだ。

もっとも、在朝華僑の受難はこれが初めてではない。過去に中朝関係が悪化した中国の文化大革命の時代には、北朝鮮の華僑に対する圧迫が強まり、帰化か帰国を強いられ華僑学校も閉鎖された。

それが緩和されたのは、1971年に周恩来首相が訪朝してからだ。

先日、中国共産党は北朝鮮の朝鮮労働党創建70周年(10日)記念行事に、党最高指導部メンバーで序列5位の劉雲山政治局常務委員を派遣すると発表。

両国の関係改善の兆しも見られる。

これを機会に、在朝華僑の受難が終わることを祈りたい。

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