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2012年春、北朝鮮当局は数カ月にわたり、首都・平壌の市民に特別配給の大盤振る舞いを行った。大規模な祝賀イベントも開き、ハコモノ行政も強化した。

その財源は、いったいどこから来たのか。経済が急成長したわけでもなければ、外国から巨額の援助を受けたわけでもない。

国内の穀倉地帯である黄海北道・南道(以下、黄海道)から、食糧を最後の一粒まで奪い取ったのである。北朝鮮の中では比較的、食糧難と縁の薄かった黄海道の人々は、突然の飢饉の前に次々と倒れた。

同年4月10日、まずデイリーNKが「餓死者急増」の第一報を打つ。続いてアジアプレスが現地の状況を詳細に伝えるに及び、阿鼻叫喚の実態が伝わってきた。その中には、耳を疑うような「人肉事件」の証言さえ、多数含まれていた。