中朝国境を結ぶ「鴨緑江大橋」で先月28日に、コンテナトラックの横転事故が発生し、全面通行止めとなった。鴨緑江大橋は、北朝鮮新義州市と中国・丹東を結ぶ「中朝物流」の大動脈であり、北朝鮮国内の物流にも多少の影響が出ることも予想される。

鴨緑江大橋の事故現場(画像:通迅大遼網)
鴨緑江大橋の事故現場(画像:通迅大遼網)

平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、「9月28日の午前11時頃、中国から北朝鮮に向かっていた大型コンテナトラックが、橋の真ん中で横転した」と、事故発生当時の状況を語った。

「ちょうど横転事故が起きた場所は、以前に穴が開き鉄板で仮補修していた箇所だったため、激しく破損してしまった」(情報筋)この事故により、28日と29日は橋の通行が全面ストップした。

事故により破損した鴨緑江大橋(画像:デイリーNK)
事故により破損した鴨緑江大橋(画像:デイリーNK)

鴨緑江大橋は、車道と鉄道が併走している。柵は設置されていないためコンテナトラックは鉄道側に横転したが破損は免れ、事故当日の28日午後8時から鉄道の運行は再開された。その後、車道の破損箇所に鉄板敷かれ、中国側の車両は一旦丹東に戻されたが、事故が発生した要因には、北朝鮮側のある事情があった。

もともと穴が空いた破損場所は、10月1日から4日まで補修工事が行われる予定だったが、北朝鮮側が鉄板で仮補修。30日の一日に限って通行が再開されたが、北朝鮮としては通行再開を急ぐ必要があった。

現在、丹東の税関には、北朝鮮に運ばれる物資が山積み状態となっている。そのなかには、10月10日の朝鮮労働党創建70周年記念行事の際に必要な物資も含まれている。物資の遅配により、行事の準備にも深刻な影響が出かねない状態だ。

さらに、中国は10月1日(国慶節)から7日までは連休になることから、連休前に可能な限り物資を運ぼうと、危険を顧みず一日に限って臨時で橋を復旧したようだ。

北朝鮮と中国を結ぶ「鴨緑江大橋」は、朝鮮が日本の植民地支配下にあった1911年に完成した。その後、1943年には2本目の橋が開通したが、朝鮮戦争時に米軍の爆撃で2本とも破壊された。中国から北朝鮮へ軍事物資を運ぶために、修復されたがそのたびに爆撃で破壊され、1本目の橋はついに半分が壊された。現在使われているのは2本目の橋だ。

建設後72年も経った上に、爆撃による損傷も重なり、かなりの老朽化が進んでいる。幅が狭いため、対面通行をせざるを得ず、通行量も限られる。

こうしたことから中国政府は、南に数キロ離れた場所に、18億元の建設費全額を投入して「新鴨緑江大橋」を建設した。しかし、中朝関係の悪化から正式に開通する見通しは立っていない。

現状では、今回のような事故が発生して鴨緑江大橋が通行止めになった場合、北東に300キロ離れた吉林省の集安から慈江道(チャガンド)の満浦(マンポ)を結ぶ橋まで迂回しなければならない。

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