「祖先を大切にする」という大義名分があるために、女性たちからは風習自体に異を唱えることもままならない。もちろん、こうした伝統行事を意気揚々とこなす女性も存在するが、北朝鮮ではかなり様子が違ってきているようだ。
平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、「この時期、市場は早朝から店を開く。墓参り用品やスルメ、落花生、スンデ(腸詰め)、果物など祭壇に供える様々な食物が店頭に並ぶ。家で用意するのはサンジョク(肉や野菜の串焼き)ぐらいだ」と語った。
祭祀では、本来は故人の好物を家で用意するのがしきたりだったが、女性たちから、「市場の商売で忙しいのに、なんで秋夕にまで重労働をしなければならないのか?!」と不満の声が高まり、出来合い物で済ませるようになった。背景には、女性の経済力と発言力が高まったことがある。