北朝鮮メディアは、金正恩第1書記の特徴的な刈り上げヘア・スタイルを「覇気ヘア」と褒め称える。

一般住民は、そんな呼び方はしないらしいが、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、金正恩氏は「俺のヘア・スタイルやファッションを真似するな」という指示を下したという。

幹部らの楽しみ

RFAの咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、「わが国の幹部たちは、長年、最高指導者の服装やヘアスタイルを慣行として真似てきた」という。

実際、故金正日総書記も、愛用していた綿入りのジャケットと同じものを中央党幹部にプレゼントするなど、自らのファッションを真似ることを薦めてきた。

それだけではなく「私の筆跡も真似しなさい」と言い出したことから、幹部たちは先を争って金正日氏の真似をした。忠誠心を見せる意味合いもあったが、嫌々ではなくそれなりに楽しんでいたようだ。

ところが、金正恩氏は「自分の真似」をされることが、お嫌いなようだ。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、幹部らの間で最高指導者のズボンにまつわる次のようなエピソードが広まっている。

「ある現地指導に同行した崔龍海(チェ・リョンヘ)氏が、金正恩氏と同じズボンを履いていったところ、公衆の面前で激しく叱責され、ズボンを履き替えさせられた」

20150601労働新聞金正恩ポーズ

ズボンにブチ切れた金正恩氏の言動は、「俺の真似をするヤツは、絶対に許さない」という意味で受け取られ幹部たちは、服屋に注文していた「金正恩ルック」を次々にキャンセルした。

北朝鮮では、高級幹部の粛清、公開処刑が相次いでおり、金正恩氏の気に入らないことをすれば、どんな目に遭わされるかわからないという恐怖心があるからだ。

ある情報筋は「元帥様(金正恩氏)も、部下たちの行き過ぎたおべっかをやめさせるという意図があったのだろう」と分析したが、その一方で「単に自分を神格化させたいだけだ」と金正恩氏を批判する幹部の声を伝えた。

    関連記事