取り締まりは行われていたが、いくらでも抜け穴があり、万が一摘発されてもワイロを払えば特に問題はなかった。しかし、近年では北朝鮮だけなく中国でも規制が強化され事情が変わりつつある。
まず、北朝鮮当局は、強力なドイツ製電波探知機を導入し、中国電話網を利用した携帯電話通話を大々的に取り締まるようになった。摘発されるとスパイ扱いされる可能性もあり、非常に危険だ。中国政府もテロや犯罪防止のため、「携帯電話登録制」を実施。使用するには、本人確認が必要になった。
そこで編み出された裏ワザが「北朝鮮の携帯電話を中国で使う」。この裏ワザについて両江道(リャンガンド)の情報筋が次のように語った。
「北朝鮮では、原則的に1人の名義で登録出来る携帯電話は2台までだが、他人名義の登録は可能だ。また、保安署(警察)などに怪しまれにくい人の名義を借りることで、より安全に登録できる」
いわば「飛ばし携帯」である。仮に、当局に盗聴されても他人名義だから、言い逃れが可能だ。現在、中国のブラックマーケットでは、北朝鮮「飛ばし携帯」が300元(約5600円)で売られている。
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