北朝鮮当局が、羅先市で起きた水害復旧にかこつけて、住民からカネを巻き上げている。この当局の横暴に対して、住民たちの間では怨嗟の声が渦巻いていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)羅先(ラソン)市は、先日の台風15号で甚大な被害を受けたが、復旧費用を調達するという名目で、当局は17歳以上の全国民から1人あたり2000北朝鮮ウォンの費用を徴収した。同時に手袋、味噌など様々な物資も提供せよとの指示を下した。

この1ヶ月で全国民に供出が指示された現金と現物の額を合わせると中国元で数十元に達する。50人民元だとすると日本円では約950円、コメ13キロ分に相当する額だ。

当局の強制徴収に対して住民たちは「金正恩氏は人民に何をしてくれたのか。カネと物を供出していくばかりだ」と非難の声を挙げているとRFAの両江道(リャンガンド)の情報筋は伝えた。

住民達は、水害復旧以外にも、人民軍支援、閲兵式訓練、10月10日の労働党創建70周年記念建設事業などの名目で、この1ヶ月で1世帯あたり40人民元(約760円)の供出を求められている。今年に入ってからの供出を指示された現金と現物の額を合計すると300元(約5690円)に達する。

こうした指示は、中央政府のみならず、道、市などの地方政府からも出され、住民たちは二重、三重の搾取に苦しんでいる。

故金日成氏が、1974年に「税金撤廃宣言」をして以降、北朝鮮には公式に税金が存在しないことになっているが、税収の代わりに、住民たちから様々な形で現金や物を供出する形となっているのだ。

また、こうした事実上の制度は、金日成氏、正日氏が打ち出したもので、仮に弊害になろうとも撤廃できず、北朝鮮の構造的問題となっている。

慈江道(チャガンド)の情報筋は、金正恩政権に対する不満を隠そうとしない。

「日本の植民地時代でも、ここまでは搾取されなかっただろう。金正日氏も様々な要求を住民に突き付け住民の不満が高かったが、金正恩氏に比べればかわいいものだ」

この情報筋によると、住民たちは、上からの指示や要求に対して、「吸血鬼どもめ」と非難している。複数形で表現しているが、実際は金正恩氏への非難を意味するという。

    関連記事