そんな人物と握手することは、外国の国家元首にとっても明らかに「リスク」となる。
しかし、そうした弱点を情報統制で糊塗しようとしても、すでに手遅れである。北朝鮮国民への海外情報の浸透は、止まるところを知らない。
北朝鮮には、相変わらず海外ドラマや映画の流入が続いている。主力はやはり韓流ドラマで、最近では会社内の人間模様を描いた『未生〜ミセン〜』や青春ロマンスの『応答せよ1994』が人気だという。
金正恩氏が国際的な「ひきこもり」を続けているうちに、国民たちは外の世界に着実に接近しているのである。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。