しかしそれは、パレードが終わった後のことだ。パレードの生中継を見ている住民宅にリアルタイムで秘密警察が踏み込むとは、中朝関係が影響したというよりも、別の要素が動機となった方が正しいだろう。
では、別の要素とは何か。まず考えられるのは、朴槿恵大統領が習近平国家主席やロシアのプーチン大統領と肩を並べ、華々しい外交を繰り広げる姿を見せたくなかったのではないか。
金正恩氏は最高指導者となって以降、一度も外遊をしておらず、外国の首脳との会談もしていない。そして実は、多数の国家元首が集まる国際舞台への出席は、北朝鮮の独裁者が苦手とする、外交上の最大の弱点なのだ。
とりわけ正恩氏は、側近らを文字通り「ミンチ」にするようなやり方で処刑している事実が、衛星画像などで把握してしまっている。