無償医療制度が事実上、崩壊した北朝鮮では、民間病院を訪れる人が多いが、それに加えて「漢方医」が人気を集めていると平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

民間病院やヤミ市場でのクスリ販売は、90年代はじめから存在している。当初は、医者が薬を調剤していたのだが、マーケットが広まるにつれ、薬剤師が登場して分業化が進むなど「質は高くなっている」と情報筋は語る。

「以前は、ヤブ医者が多く誤診で患者が死ぬこともあった。でも、最近は腕の悪い医者は淘汰され、誤診も減っている」(情報筋)

民間での医師は、国営病院の給料では生活が成り立たないという理由で退職した人や、独学で「漢方医学」を勉強した人などが多いという。

評判のいい漢方医は「名医」と言われ、診療所の前には朝早くから患者が長蛇の列を作る。診察費は10ドル(約1200円)で薬代は別だ。決して安いとは言えないが、国営病院のようにワイロを払う必要がないため、むしろ安上がりだという。

「昨年、ある党幹部が肝臓を悪くして国営病院を訪れた。腹水がたまるほどだったが、まともな治療をしてもらえずさらに悪化したが、個人が診断する民間病院で診察を受け、処方された薬を飲んだら、良くなった。この噂はたちまち住民たちの間で広まった」(情報筋)

もちろん、民間病院は違法で、取り締まりの対象だが、取り締まりを行う側の保安員自身やその家族も病気になったら個人病院で診察を受けることから、黙認せざるをえない。

ちなみに北朝鮮で最近多い病気は肝硬変だという。酒を飲む機会が多い上に、きつい酒が好まれるからだろう。

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