北朝鮮の平壌では、10月10日の労働党創建70周年を記念する大型工事で建設ラッシュを迎えているが、既存の建物に様々な問題が生じていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

平壌市内の東大院区域(画像:comradeanatolii)
平壌市内の東大院区域(画像:comradeanatolii)

RFAの情報筋によると、平壌市内中心部の烏灘洞(オタンドン)、柳城洞(リュソンドン)一帯では、朝鮮戦争終結後に旧ソ連の援助で建てられた旧式のマンションが解体され、跡地に30階、50階建ての高層マンションの建設が進められている。

建設事業は、党創建記念日までに成果を出したい金正恩第1書記の指示によるものだ。しかし、北朝鮮の建設現場では通常でさえ、必要人員や支援物資などが不足していることから当局は、当局は住民に人と物を差し出せと要求している。

また、中心部で大々的な建設工事が進められているが、大同江の対岸地域のマンションでは水道も電気も来ない有様だという。

「船橋(ソンギョ)区域、東大院(トンデウォン)区域のマンションでは水圧が低かったり、停電でポンプが稼働せず、蛇口から水が出ない。住民たちは屋上に置いた雨水タンクをホースでつなぎ、部屋の壁に穴を開けてホースを通して水道として使っている」(RFAの情報筋)

雨が降らない時期は、水道管理者に賄賂を掴ませて水圧を上げさせるが、それすらできない住民は、井戸水を使わざるを得ない。しかし、井戸水も頻繁に使用することから枯渇気味だ。

さらに、電気の供給も相変わらず非常に不安定だ。多くの住民は、窓際にソーラーパネルを設置して、電灯やテレビの電力に使っている。家のなかの電力なら数枚のパネルでなんとかなるが、共用スペースは国の電力が不可欠だ。つまり、エレベーターはあっても「使えない」ということになる。

こうしたなか、仮に市内中心部に建設中のマンションが完成しても似たような状況になり、まともに住めないのではないかと危惧する声が多い。

平壌で、停電が頻繁に起こるのは、同市に電気を供給するために建設された煕川(ヒチョン)水力発電所が渇水によりまともに稼働できていないからだ。

ある市民は「このままでは『第2の光復通り』になりかねない」と語った。光復通りとは、1989年に行われた第13回世界青年学生祝典を合わせて平壌の西の郊外に作られた高層マンション群である。

見栄えはいいものの、電気が供給されないためエレベーターが使えず、住民は毎日階段の昇り降りを余儀なくされ、不便なことこの上ないとのことだ。

ちなみに、市内中心部の倉田(チャンジョン)通りの高層マンションは、断水、停電が頻繁に起こることはないという。金日成広場と金日成氏、金正日氏の銅像が立つ万寿台(マンスデ)の中間にあり、外国人の目に触れやすいからと見られるが、それを考えると「まともに住めないかも」というのは杞憂に終わるかもしれない。

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