韓国の国防委員会で8日、与党セヌリ党のソン・インチュン議員は、韓国国防省の資料「最近5年間北韓人帰順(北朝鮮人亡命)現況」を引用しながら、この5年間で軍事境界線や北方限界線(海上の軍事境界線)を超えて脱北した北朝鮮住民が65人に達することを明らかにした。

ソウルと板門店を結ぶ幹線道路、川向かいは北朝鮮だ(画像:Won-Hee Lee)
ソウルと板門店を結ぶ幹線道路、川向かいは北朝鮮だ(画像:Won-Hee Lee)

このうち15人は、韓国軍の監視体制に察知されずに韓国側にわたっており、「警備体制に問題がある」という指摘が避けられない状況だ。

韓国側にわたることに成功した北朝鮮住民65人のほとんどが、西海5島(ソウルから西に約200キロ離れたところにある韓国領の島で、北朝鮮の甕津半島に近接)にたどり着き亡命を申請したが、中には韓国本土に越境して申請したケースもある。

65人のうち、韓国軍が事前感知できなかったのは15人。内訳は、近隣の住民や漁師の通報で身柄が確保された12人、自ら亡命を申し出た朝鮮人民軍兵士3人だ。この代表例が2012年10月に起きた「ノック帰順」と呼ばれる事件だ。

韓国東海岸の江原道高城郡の軍事境界線に張られた鉄柵を超えて、韓国側に入った朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士が、韓国軍の哨所のドアをノックして亡命を申し出た事件である。韓国軍の警戒の緩さが大問題となり、将軍5人を含む14人が処分を受ける事態に発展した。

また、2013年8月23日午前3時頃には、北朝鮮住民1人が北朝鮮側から川幅2.5キロの川を泳いで仁川市江華郡の喬桐島に上陸し、民家のドアをノックして亡命を申し出た事件も起こっている。

この島では、2014年8月14日にも50代と20代の親子が北朝鮮から泳いで亡命する事件も起きている。この事件は、島に上陸する前に韓国の海兵隊に発見され、無事保護された。

さらに今年の6月15日には、19歳の朝鮮人民軍兵士が軍事境界線を超えて、韓国軍の哨所から4~5メートルのところで夜が明けるのを待ち、日が昇ってから亡命を申し出た事件も発生した。

先月、非武装地帯で北朝鮮が埋設した地雷が爆発し、韓国軍兵士2名が負傷した。地雷事件は、南北の軍事衝突の危機にまで発展したが地雷埋設の動機について「軍事的挑発」と見る向きもあった。しかし、今回の資料は韓国側の警備の緩さを指摘しており、そもそも地雷埋設の理由は、脱北者を未然に防ぐ目的だったと見られる。

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