東京の新大久保でも時折見られる「羊肉の串焼き」は、北朝鮮北部と豆満江を挟んで隣接する中国・延辺朝鮮族自治州の名物料理だ。元々は新疆ウイグル自治区出身のウイグル人が中国各地の駅前や市場で串焼きにして売っていたものだが、これが延辺にも流入し、朝鮮族好みの唐辛子味を増した味付けに変化させて発展したとみられる。
韓国でも、数年前から出稼ぎの朝鮮族が多く住む地域から流行しはじめ、今やすっかり定着した。
人気の秘訣は、延辺風の味付けで羊肉独特の臭みを抑えたことにある。北朝鮮でも「羊肉は臭い」と敬遠されていたが、延辺から持ち込んだ「羊肉串焼き用のタレ」で下ごしらえをして焼いたところ、「臭くなくて美味しい」と評判だ。
一方、トンジュ(金主、新興富裕層)は羊肉に飽きたらず、北朝鮮ではご禁制の品である「牛肉」を食べている。それも金正恩第1書記御用達の超高級品だ。