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太陽節(金日成氏の誕生日)の二日前になる4月13日、北朝鮮で建設を支援する青年組織「突撃隊」の隊員が上官を襲撃する事件が発生したとデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

一体なにがあったのか。

現地を視察した金正日氏が「ほうびを上げろ」と指示

事の発端は一ヶ月以上前に遡る。

両江道の三池淵(サムジヨン)郡で『6.18突撃隊咸鏡北道ヨンサ郡大隊』は建設労働をしていた。「6.18突撃隊」には「党思想宣伝突撃隊」という別名もあり、労働党の宣伝扇動部が2000年に組織した延べ人員3万5千人規模の建設集団である。

これまで三池淵の革命戦跡地の建設や三水発電所の建設、北青と恵山を結ぶ道路の建設などに従事してきた。

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3月4日にここを現地視察した金正日氏が以下のような指示を出した。

「6.18突撃隊員が仕事をきちんとした。これを評価して贈り物もたくさんあげなさい」

突撃隊の組織体系は軍隊である。指揮部は金正日の指示に従って、3月10日から突撃隊員の入所期間と作業の成果に基づいて「模範隊員」リストを作成しながら具体的な褒賞規定と贈り物リストを発表した。

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また、3年以上参加した突撃隊員には労働党に入党させるという大判振る舞いを提示して、勤務年数によって贈り物を支給するとしていた。

結成時から参加していた突撃隊員たちにはカラーテレビを。5年以上参加した人には冷蔵庫を。3年以上参加した隊員にはカラーテレビ。隊員全員に自転車を1台プレゼントすると言った。

事前通告はなかったものの、隊員たちの間では、4月15日(金日成氏の誕生日)に、入党推薦式と贈り物の授与式が行われるはずだという期待が高まっていた。隊員だけでなく夫や子供を突撃隊に送った家族もこの日を待ちわびていた。

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しかし、4月13日になっても贈り物はなかった。

入党もプレゼントもなく突撃隊の不満が高まる

贈り物がないだけでなく、突撃隊の指揮部は4月15日を迎えて中隊(3〜40人)から1人だけを入党推薦すると言い出し、「3年勤務した者を全員入党させる」という約束を覆した。

これを知った突撃隊員たちの不満は高まった。

「3年以上働いたら全員入党させてやると言っていたじゃないか!」

「今さら1人だけ入党を推薦するというのはどういうことか?」

隊員達が反発するなか、入党推薦も中隊幹部たちが勝手に決めたことが発覚。突如、突撃隊員と指揮部の間に不穏な空気が漂いはじめる。

そして、事件は起こった。

突撃隊員が上官に“突撃”して大暴れ

?13日の夜、3年以上勤めたのに「入党推薦」されなかった突撃隊員の一部が、ついにブチ切れた。複数の隊員を連れて大隊本部の食堂におしかけ上官達に激しく抗議した。

食堂で既に酒を飲んでいた幹部たちは、いつものように軽くいなして追い払おうとしたが、食堂の外で見守っていた隊員数人が食堂の窓に石を投げて叫び始めた!

「中隊長!出て来やがれ!」

怒号を合図に、突撃隊員たちは次々と食堂に押し入り、上官に襲いかかった。殴る、蹴るの暴行を加え、食堂で働いていた2人の女性と統計員たちも巻き込まれた。

たまたま、別の酒席に参加して不在だった大隊長と大隊政治支援員は、被害を免れた。

突撃隊指揮部は、恵山市の保安署(警察)との合同捜査で首謀者を探しだそうとしたが、事件時の幹部たちも泥酔状態だったという点と、入党対象者の選定の過程で幹部の不正行為があったことから、内々で治められたという。

また、突撃隊指揮官は「6月18日の突撃隊創立日に合わせて、(金正日の)贈り物の授与式を準備していた」と言って隊員たちの不満を押さえようとした。

内部情報筋は「入党は党の中央が決めることで突撃隊の政治局幹部が決められる問題ではない。入党推薦をもらえなかった隊員も、また推薦状を書けなかった幹部も心苦しいのは同じ」と双方に理解を示しながら以下のように語った。

「将軍様(金正日氏)は気ままに一言だけ言って帰ればそれでいいだろう。しかし約束を守らなければならない幹部たちも大変なんだ。今の世の中は将軍様の方針を貫徹することも難しいんだよ」