金正恩体制に入って、市場に対する統制は徐々に緩和されている。その一方で、「朝市」に対する取締が行われ、商人たちがそれに激しく抗議する事件が起きた。

自転車に荷物を積んで市場に向かう人々
自転車に荷物を積んで市場に向かう人々

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、事件は咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)市の「清津朝市」で起きた。

8月の2日、3日の両日、清津市保安局(警察)の「起動打撃隊」が朝市を急襲、市場そのものを閉鎖し、商人たちが売っていた農水産物を車両ごと押収。それに怒った商人たちはその場で激しく抗議したが、聞き入れられなかった。その後、商人たちは市場管理所と清津市労働党委員会に押しかけて、押収物の返還を要求し激しく抗議したが、今のところ返還されていない。

さらに、押収された商品が建設労働者の給食に使われたという情報が伝わり、商人たちの怒りの火に油を注ぐ。

再び市場管理所に押し寄せてきた商人たちは「なんで我々が建設労働者の面倒を見なきゃならないんだ!」「彼らは野菜しか食べていないというのに、我々が押収したワカメと魚はどこに横流ししたんだ」と激しく抗議し、大きな騒動となった。

しかし、北朝鮮当局は、なぜいきなり朝市を閉鎖させたのだろうか。

朝市は、数年前から大都市でうまれたが、周辺地域から多くの農産物、水産物が持ち込まれ取引される、いわば「卸売市場」のような存在だった。ここで売買された商品は、普通の市場で小売価格で売られることになる。

一方、北朝鮮当局は、10月10日の労働党創建70周年に向けて大規模な建設事業を進めている。住民たちは、朝5時半から6時半までの間、建設に必要な砂や砂利を現場に運ぶ仕事に動員されているが、朝市で商活動を営む商人たちは「忙しい」との理由で動員を無視する。

こうしたなか、当局は商人達が朝から市場に行って「油を売っている」とみなして閉鎖に乗り出したのだ。

また、中央政府からも「党創建70周年事業に必要な労働力確保のために、10月10日までは市場の営業時間を午後4時から9時までに制限する」との指示が下されていた。そこで地方当局は、朝市を完全に閉鎖するために商品没収という強行手段に打って出たというわけだ。

その後の朝市の様子については不明だが、これまでの例からすると、商人たちは、しばらくはおとなしくするが、ほとぼりが冷めたら、また以前のように朝市に通うだろう。

「朝令暮改」の国に住んでいる人々は、「上に政策あれば下に対策あり」で下らぬ規制など、難なく乗り越えるのだ。

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