日本では、安倍政権が進める安保法制により「徴兵制が復活するのではないか」との不安が中高生の間で高まっているが、北朝鮮では4月から女性に対しても兵役の義務が課せられた。しかし、「大事な娘を軍隊に取られてたまるか」とワイロやコネを総動員して兵役逃れを図る親が続出していると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報道した。

プエブロ号の女性ガイド ©Roman Harak
米国から拿捕したプエブロ号のガイドを務める北朝鮮の女性兵士(画像:Roman Harak)

北朝鮮では、90年代後半の大飢饉「苦難の行軍」で出産率が下がり、乳幼児死亡率が大幅に増加し、現状の兵力が維持できなくなったた。そこで北朝鮮当局は苦肉の策として女性にまで徴兵の対象を拡大したが、当局の思惑通りには進んでいないと平安北道(ピョンアンブクト)の内部情報筋は語る。

「当初は今年に高等中学校(高校)を卒業したばかりの女性を対象に、38%を徴兵するのが目標だったが、達成できていない。帳尻合わせのために、徴兵対象を去年の高校卒業者にまで拡大したが、こちらも実績は上がらずだ。結局は、従来の志願制と同じような状況に陥っている」(内部情報筋)

「女性徴兵制」導入を発表した意味がないと見られるが、情報筋は「とりあえず制度導入を発表しておけば、今は強制できなくても、いざとなったら強制的に徴兵できるというメリットがある」と語る。

人数合わせさえできればいいという北朝鮮のやり方には、疑問を呈する向きも多い。

苦難の行軍の食べ物のなかった時代に幼児期を送った10代、20代は、他の世代に比べて身体的条件が悪く、兵力としても、建設労働者としても役に立たないのではないかとの見方も根強い。また、今年は施行初年度でテスト段階だが、来年からは強制徴兵が実施されるだろうと情報筋は見ている。

国民に等しく徴兵の義務を課すには、莫大な労力と資金、そしてそれを支えるしっかりしたガバナンスが必要だが、北朝鮮はそれをを欠いていると言わざるをえない。

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