北朝鮮では、医薬品が不足しているため、急病に対処するために微量の覚せい剤が日常的に使われてきた。ところが最近になって、「ダイエット目的」で覚せい剤を使用する女性が急増しているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

故金日成氏が描かれた紙幣でパイプをつくって覚せい剤を吸引する様子
故金日成氏が描かれた紙幣でパイプをつくって覚せい剤を吸引する様子/撮影:デイリーNK

贅沢太りに手軽な「やせ薬」

1980年代、日本の女性の間で覚せい剤の乱用者が急増したが、その理由は「痩せられるから」、つまりダイエット目的だった。その後、テレビでは「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」とのコピーで恐怖心を煽り、覚せい剤の拡散を防止するCMが頻繁に流されるようになるが同様の現象が北朝鮮でも起こっているようだ。

両江道(リャンガンド)の内部情報筋は語る。

「幹部や貿易関係者の妻たちのなかいは、贅沢のし過ぎで太り過ぎの女性もいる。彼女たちが手軽にダイエットできる覚せい剤を買い求めている」

覚せい剤の所持及び使用は、北朝鮮でも違法だが、長年広く使われてきたためやはり抵抗感が薄い。また、スリム・ボディの妻を連れ歩きたいと思う夫も、覚せい剤の使用をさほど強くは諫めないという。

北朝鮮当局は、昨年から覚せい剤の取り締まりを強化しているが、乱用者は一向に減る気配を見せないが、その理由について「取り締まる立場の保安署、検察所などの幹部の妻たちが覚せい剤を使っているためだ」と情報筋は説明した。

生き抜くことに必死の庶民を横目に、幹部の妻たちは贅沢の限りを尽くし、太った体を覚せい剤で無理やりスリムにしようとしている。当然のように、庶民の間からは非難の声が上がっている。

恵山(へサン)では覚せい剤1グラムが中国人民元150元(約3000円)で取引されている。これで3回から10回程度使える量だ。

市場でコメ37キロも買える150元という大金を快楽のために使う幹部の妻たちに住民たちは「うちらはまともにご飯にもありつけないのに、毎日毎日動員されて、太ってる暇すらない。幹部はいい気なもんだね」吐き捨てるように語った。

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