春には都会から多くの人が農村支援にやって来る。一見、農村にメリットがありそうに思えるが、せっかくできた収穫物も、その多くは秋には彼らへの「分け前」として取り上げられてしまう。さらに、いやいや動員された人々は怠けてばかりで使いものにならないなど、農民の立場からすると農村支援者のメリットはあまりない。
それに業を煮やした農民たちは、農村支援者を受け入れず、少しでも自分たちの手元に残るものを増やすために、子供にまで個人耕作地での農作業を手伝わせているのだ。
今まで北朝鮮の子供達は、国の制度に守られて学校教育を受けることができた。しかし、一年の農業生産が生死を左右する状況において、親が子供を学校にやらず、労働力として活用しようとするのは仕方ない部分もある。
北朝鮮も、市場経済化の過程において多くの国が経験してきた「いつか来た道」をたどっているのだ。