北朝鮮の万寿台芸術社は海外事業部を設立、アフリカ各国を対象に営業活動を行い、多くの銅像建設を受注していることはデイリーNKでも既報だが、アメリカのニュースブログ「クオーツ」でも近年の実態について詳しく伝えている。

ナミビアの新国会議事堂(画像:Alexander Johmann)
ナミビアの新国会議事堂(画像:Alexander Johmann)

ナミビア政府は昨年、首都ウィントフック郊外の国立墓地「ヒーローズ・エイカー」の29万2000平米の土地にモニュメントを建設する契約を万寿台芸術社と交わした。予算は6000万ナミビアドルに達する。また、同社は2008年にナミビアの新国会議事堂も建設している。

ジンバブエ政府も同社に依頼して国立墓地に様々なモニュメントを建設した。こちらの総工費は500万ドルだ。

銅像の中でもっとも有名なものは2010年にセネガルで建設した「アフリカルネサンス」像で、高さは49メートル、総工費は2700万ドルに達する。

ジンバブエ国立墓地の銅像(画像:Gary Bembridge)
ジンバブエ国立墓地の銅像(画像:Gary Bembridge)

北朝鮮はそれ以外にもボツワナ、アンゴラ、ベナン、エチオピアなどで銅像の建設に携わってきた。受注額の合計は1億6000万ドルに達する。

しかし、銅像の建設は各地で問題を引き起こしている。

ナミビアでの銅像建設の契約は競争入札ではなく随意契約で行われたため、建設費が倍増したのではないかという疑惑の目にさらされている。また、「ザ・ナミビアン」紙は2005年5月の記事で「銅像に腐食の兆しがある」「台座に刻まれた金色の文字が破損したりなくなったりしている」「セメントで文字をかたどり金色に塗って台座に糊で貼っただけ」などと、品質に問題ありと報道している。

セネガル政府は、巨大モニュメントの代金が払えなくなったため、国有地を物納せざるを得ない状況だ。また、半裸の男女という銅像のデザインは、人口の9割がムスリムであるセネガルの人々を唖然とさせているという。

さらに、ジンバブエはロバート・ムガベ大統領の独裁政治やむちゃくちゃな経済運営でハイパーインフレが起こり、国の経済が破たん状態に追い込まれた。ジンバブエ財務省は2013年1月、国庫にたったの217ドルしかなく、1億700万ドルかかる次期国会議員選挙が行えないため寄付を募ると発表するほどの火の車だ。

それにもかかわらず、銅像に500万ドルを投入する点でも、また一切の批判を許さない点でも、依頼国と受注国は非常に似通っている。

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