同年5月のある日、中国遼寧省の省都・瀋陽の中心部にある大型の北朝鮮レストラン「七星(チルソン)食堂」に、北朝鮮の若者たち数十人が続々と到着した。
中国や東南アジアにある北朝鮮レストランの多くは、地元資本と北朝鮮の外貨獲得機関との合弁により運営されている。北朝鮮の貿易会社幹部が話す。
「たとえば中国では、地元資本が不動産の確保と食材の供給を担い、北朝鮮はスタッフを派遣。それでお互いの出資割合が5対5になるように調整し、利益を半分ずつ分け合うようになっている」
北朝鮮が派遣するスタッフの多くは、ホール係やウェイトレスなど20代の若者たちだ。商業大学のサービス学科で学んだ、裕福な家庭の子供たちが少なくない。
秀才校出の将校たち
しかし冒頭で述べた若者たちが漂わす雰囲気には、ほかのスタッフたちとは明らかに特異なものがあった。
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