中朝両国が国境地帯の監視と警備を強化している。北朝鮮側は、脱北や密輸を防ぐことが目的で、中国側は、最近相次ぐ脱北者による犯罪や麻薬の流入を防ぐためだ。

北朝鮮当局は、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)、穏城(オンソン)、茂山(ムサン)など、主要脱北ルートに高さ2.5メートルの壁を鉄条網を設置した。

こうした措置によって、以前のような脱北は、困難になったが、それでも脱北に成功する住民はいる。そのウラ事情を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

昨年6月下旬、30代の北朝鮮女性が中国への脱北に成功した。成功の秘訣は「秘密のルートを通った」からだ。

実は、国境地帯には、潜伏勤務している国境警備隊員だけが知る「秘密ルート」が存在する。そのルートを通じて豆満江を渡り、中国側で待っているブローカーがすみやかに内陸に運んでくれるのだ。ルートの具体的な場所は明らかにされていない。今後同じルートを使う人の身に危険が生じかねないからだ。

警備強化にもかかわらず、国境警備隊が脱北幇助をするのは、相変わらずの食糧難に苦しんでいるからだ。彼らは、上官の目を避けて、脱北幇助でカネを稼ぎ食いつなぐ。とりわけ、除隊を控えた警備隊員は、その後の生活資金を準備するために脱北幇助を行う。

そんな国境警備隊が、最も恐れのは脱北を手伝った住民が、中国で捕まり北朝鮮に強制送還、そして責任を問われることだ。ただし、お互いが、緊密な連絡を取り合っていれば、ある程度安全に脱北出来るという。

数日前に10代の少年を脱北させたばっかりの韓国の脱北ブローカーは次のように語った。

「北朝鮮の軍人が脱北の時間を正確に教えてくれれば、人民解放軍にバレずに脱北できるように中国の業者が動いてくれる」

このブローカーは、脱北費用の具体的な額は知らないが「1万ドル(約123万円)を超えるだろう」と証言。北朝鮮の一般住民にとっては高額であり、既に脱北して韓国で定着する家族がいる住民が、資金を集めて家族を北朝鮮から連れ出すのに使っているという。

なお、この金額は単純に川を超えるためだけの費用だ。

昨年12月の時点で脱北して韓国に辿り着くまでの費用の総額は、比較的国境に近い地域からだと1万3000ドル(約161万円)、咸鏡南道(ハムギョンナムド)や黄海道(ファンヘド)など国境から離れた地域だと1万5000ドル(約186万円)だった。これは2000年代前半に比べて約10倍の額だが、今ではさらに上がったものと見られる。

 

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